【本】使える!確率的思考
使える!確率的思考 小島寛之 (ちくま新書、2005年11月) 700円
おもしろいです。使えます。
私の確率の知識は高校数学止まりですが、どうも、いい印象はありません。数学を嫌いになるパターンにありがちですが、難解で、しかも「一体何の役にたつのか!」と反発したくなるつまらなさ。
が、この本では、小難しい理論ではなく、実生活や社会の様々な現象や人間の行動を、確率という切り口で分かりやすく説明してあるので、「ああ、そうか。あの現象は、そういう風に説明できるのか。」という発見がたくさんあります。全体を通じてのキーワードは、「不確実性」だと思います。
特に、「第8章人は観測できない世界を見落とす」から「終章 不確実性下における選択の正しさとは何か」にかけては、社会現象や人の行動選択を見る眼を変えてくれると思います。
【私なりの学び】
・人間が経済社会で生きていくことの全てに、不確実性、すなわち「賭けの要素」が関わっている。
・物事には常に不確実性がつきまとうので、事前に判断した「合理的な選択」が、「正しい選択」とは限らない。
・人々を無個性の「マス」として捉えた合理的な政策が、個人に幸せをもたらすとは限らない。
・不確実性を積極的に利用することも、社会では行われている(抜き打ち試験、国税の査察、警察の検問)。ただし、事前には最適に思われた戦略が相手に読まれてしまい、実行てきなくなることもある(政府のインフレ政策。「動学的不整合性」。)
・データや数字に関心をもつことにより、世の中を見る眼、解析度が劇的に変わる。
・個別、特有の現象を打ち消して、長期的、全体的な傾向をみるときは、「移動平均(時系列のデータにおいて、連続するいくつかのデータをひとまとめにして平均しておくこと)」を使う。
・平均からのブレ(ある数値が、つきなみなのか、特殊なのか)を見るには、「標準偏差」(SD)を使う。資産運用で見ると、「投資」にとっては「平均値」が重要だが、「投機」にとってはSDが重要。
・データを集めて確率を計算する「統計的推定」に対し、データを入手するごとに確率を修正しながら次を予測するのが、「ベイズ推定」。心理的な確率を基礎にしている「いいかげんさ」のため排除されてきたが、最近、活用の場が広がり、注目を集めている。
→活用例:スパム・メールのフィルタリング、ネットビジネスでの顧客の行動分析
・確率が認知されることが確率の数値自体に影響を及ぼすため、告知することが有効でない場合もある。
→例:ガン患者の生存率、金融機関の破綻
・観測の非対称性(=選ばなかった選択肢の結果は永遠にわからない)により、選択にバイアスが生じることがある。往々にして、保守的な選択に導かれる。
→例:人事採用(採用した人の良し悪しはわかるが、採用しなかったがどうだったかは、分からない)、企業の不祥事(リスクに備えて対処した場合、対処しなかったらどうなるかは分からない)
・「仕組みの見えない不確実性」の対応として、類似性のある例を真似る、過去の経験を真似ることが合理的に説明できる。
・不確実性は、優柔不断の選考(将来における多様な選択肢を確保する)をもたらす。
→ 例:メニューの多いレストランの選択(そのときに何を食べたいかは分からない)、貨幣
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